肯定録-コウテイログ-

肯定ペンギン。加点方式。

銀河の日

 名古屋の夏は暑かった。

 

 フェーン現象ヒートアイランド現象が合わさって、おまけに風も吹かないから非常に暑いそうだ。

 

 日本でも最高クラスに暑い都市・館林を擁する群馬県在住の僕は名古屋のことを去年までナメていた。

 

 1年前の今日、名古屋にあるガイシホールで『Aqours 2nd LoveLive!HAPPY PARTY TRAIN TOUR』が出発の汽笛を鳴らした。

 

 僕にとってこのツアーは、特に名古屋公演の1日目は特別な日で、ものすごく思い入れのある日なのである。

 

 長くなると書くのが面倒なので、何があったのかはこちらの通り。

 もうあの日から1年か、という懐かしさすらある。

ameblo.jp

 

 何回この曲についての話するんだって思われても仕方ないけれど、スキなものは何度だって語りたい。

 

 名古屋公演の1日目、はじめて『GALAXY HidE and SeeK』が披露され、感動冷めやらぬまま人身事故に巻き込まれ、灼熱の熱帯夜。ホテルまで徒歩2時間。

 途方に暮れながらも運命的に出逢った「かくれんぼ」という名前の居酒屋。

 このちっぽけでどうでもよすぎる出逢いが僕の人生観を変えるきっかけになったのだ。

 

 忘れたくても忘れられない1日だった。

 

 自分の中でちょっと特別な存在になる1曲って、自分の立場や境遇に何かしらシンパシーを感じて”刺さる”曲なのかもしれない。

 無論僕は黒澤ダイヤではないが、たったひとつの出逢いでそれまでの道程を肯定することができた、この境遇を肯定できた。「この星のことがとってもスキになれるみたい」と思うことができた。

 そんな日だったのだ。

 

 

 冒頭で「特別な日」なんて書いたけれど、ライブはいつだって唯一無二。特別じゃないときなんて無いというのは念を押しておきたい。

 

 でもやっぱりそのなかでも「特別なライブ」というものは存在すると思う。

 ので、少し昔話を。

 

 僕がいわゆる「声優ライブ」にハマるきっかけになったのは、2011年12月4日 水樹奈々LIVE CASTLE-KING'S NIGHT-だ。

 

 2010~2011年にかけて「ハートキャッチプリキュア」が放映されていて、主人公の花咲つぼみ役として水樹さんは出演されており、「大きいお友達」だった僕はこの作品で水樹奈々さんという声優を知った。

 

 友人からCDを借り、曲を聴いてPVを見てから堕ちるのに時間はかからなかった。

 声優ライブになんて行ったことがないけれど、チケットが取れたら行ってみようくらいの気持ちだったのだ。

 

 中でも『Astrogation』という曲とPVが最強に感じたので「ライブに行ってみたい」という気持ちが出てしまったのである。

 銀河や宇宙の歴史というマクロのスケールから、君と僕というミクロのスケールへ収束する世界観がたまらないのだ。

 あとPVのウィンクがやっべぇので是非見てね。

 

 ともあれ、この『Astrogation』は同ライブのアンコールにて披露されたのだが、初めて参加したライブで観たかった曲が来たときの感情は筆舌に尽くしがたい。地球に、全ての存在に感謝をしたくなるような感情。

 

 「声優さんのライブってこんなに楽しいものなのか。

 

 世界が広がった特別な日だった。

 

 

 この『Astrogation』と『GALAXY HidE and SeeK』は歌詞も曲調も歌手も作詞作曲も何もかもが違うけれど、「銀河」をステージにした「あなたとわたし」「君と僕」の「運命的な出逢い」の歌。

 今にして思えば、遺伝子レベルでこの曲との出逢いは決まっていたのかなとも思ってしまう。

 

 

 昔話はこれくらいにしておいて、要するに「特別なライブ」ってあるよね、というお話。

 2ndツアーはそういう「特別なライブ」だったのだ。

 そもそもツアーに全部行くなんてやったことがなかったし、そういう意味でもプレミアムなものだった。

 

 それに、2ndツアーにおいて特別に感じる理由は季節も大きく関係していたように思う。

 夏といえば彼女たちAqoursの季節。

 千歌が1期「#13 サンシャイン!!」で言っていたように、「なんかアツくなれる」季節。

 

 夏っていうだけで、なんとなく特別な気分があるのだ。

 

 なんとなくぼんやりとだけれど、夏に対して特別な気分がある理由が最近わかりかけている気がする。

 

 小さい頃、おおよそ誰もが経験しているであろう「夏休み」を思い出す。

 どこかへ旅行に行っただとか楽しかった思い出だとかそういうものではなく、「夏休み」という空気そのものを、だ。

 

 昼間テレビをつけるとやっているスラムダンクとかキテレツとか、庭でやった花火とか、スイカを割って食べたりとか、別に特別な思い出ではないけれど、今振り返ってみて感じる郷愁。

 

 決して特別なんかじゃなくて、思い出にすらならないただの記憶だけれど、それらすらもまとめて「特別」にしてしまう魔力が夏にはあると思う。

 

 だからあの2ndツアーは夏という季節を持って、年甲斐もなくバカなことをやりながらあちこち回ったり、ライブとは全く関係ない物事にすら意味を与えてくれて特別にしてくれた。

 いつか思い出になってしまうけれど、またこの季節がきたらきっと思い出す。

 

 ダ・ヴィンチ4月号にて諏訪ななかさんが「Aqoursは二度目の青春」と仰っている。

 これはきっとキャストの皆さんだけじゃなくて、Aqoursと一緒に過ごしている僕たちにも言えることなんだと思う。

 じゃなきゃ大の大人が夜中に公園に集まってセミの羽化を観察したりしないでしょ。

 

 思い出す、というのも青春の味わい方のひとつだと最近は思う。

 

 

 名古屋の夏は暑かった。

 もう二度とあんな思いをするのは御免だけど、あんな目に遭ったから一層『GALAXY HidE and SeeK』のことがスキになって、記事をひとつ書いた。

 あの記事を書いたことでできた繋がりがあったり、得られた気付きもあった。

 ありがたいことにあの記事で『GALAXY HidE and SeeK』のことがスキになったなんて人も居てくれる。

 

 あの日あんな目に遭ったから今の僕があるのは紛れもない事実。

 

 去年の今頃は途方に暮れながら歩いている頃だ。

 でも、もう少し歩いたら人生観を変えてしまうような運命的な何かが待っている。

 

 これはあの時の僕へ教えてあげたいことなのだけど、まるで人生の縮図や教訓のようにも思えてきてしまうので、ちょっと面白くなってくる。

 

 

 1年越しに想う。改めて、今日は特別な日だった。

 今日は特別な日、銀河の日。

 

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